【愛媛県】ハートレディースクリニック 医師インタビュー vol.17

 

· 医師インタビュー


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生命の誕生につながる体外受精に、医師としてのやりがい

―産婦人科医を志したきっかけは?

 学生時代の研修で産婦人科を回り、生命が誕生した瞬間に立ち会ったのがきっかけで、産婦人科医を志すようになりました。赤ちゃんが生まれて「おめでとうございます」と言うときは、今でも産婦人科医をやっていてよかったと思います。


―生殖医療を専門とされた理由を教えてください。

 産婦人科医になった当初は、生殖医療にはそれほど関心がありませんでした。当時は、日本ではあまり体外受精が行われていなかったので、体外受精は未知の領域でした。赤ちゃんを望んでいる不妊症の方にはタイミング法と人工授精を行っていましたが、一般不妊治療では限界があると感じていました。

それから生殖医療がだんだんと進歩してきて、体外受精に興味をもつようになりました。最終的には赤ちゃんの誕生にもつながりますし、不妊の患者さんが妊娠して出産するところに、やりがいがあると感じました。

当時勤めていた病院で、体外受精をしたいと要望を出しましたが、施設の方針で許可が下りなかったため、退職して、体外受精のできるクリニックを開業することになりました。

 

女性が安心して通える空間づくり・治療方針は患者さんの意見を尊重

―クリニックの開業時、こだわったポイントはどこですか?

 女性が通うクリニックですので、建物の雰囲気には、とてもこだわりましたね。女性の意見を取り入れて、ヨーロピアンテイストのリゾートホテルをイメージして設計しました。居心地の良い空間で、安心して出産や治療に臨んでいただきたいと願いを込めて造り上げました。

 

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―ご施設の治療において、先生が大切に考えていることは?

 患者さんが何を望んでいるのかをいちばん大切にしています。患者さんとしっかりお話をしたうえで治療の選択肢をいくつか提示し、患者さんに選んでいただくようにしています。あまり選択肢が多いと悩まれてしまいますので、選択肢は2つか3つに絞っています。

 

都市部や市街地に比べて、高齢の患者さんが多い傾向

―通われている患者さんに特徴はありますか?

 都市部では20代後半から体外受精をされている患者さんが多数いらっしゃると聞きますが、地方はもともと治療に対する心理的・経済的ハードルが高いのか、30代後半~40代前半の患者さんが多いのが実情でした。

また、当クリニックは松山市内から少し離れたところに立地していますので、これまでは、比較的年齢の高い患者さんや治療経験のある方が多く、患者さんの平均年齢も37歳と、他の施設と比べて高めの傾向がありました。

しかし、最近は保険適用の拡大で、初めて不妊治療を希望される方や、若い方の中でも積極的に体外受精を考える方が増えてきました。また、開院当初から、土日や19:00まで診療を行う日を設けるなど、仕事を続けながらでも通えるよう配慮してきたので、お仕事を続けている方も多い印象です。


―治療をされる中で、難しいと感じることはありますか?

 高齢で難易度の高い患者さんが多いため、卵がうまく育たなかったり、採卵が難しかったり、妊娠までに時間がかかることがあります。初めは標準的な治療を行いますが、治療の反応を見ながら、薬液の量や種類を変えてみるなど、その方に合わせた調整を行っていきます。苦労はありますが、そういう方が妊娠したときは、やりがいがあると感じますね。


専門スタッフによるお声がけや夫婦のギャップを埋める説明会を実施

患者さんと接する際、どのようなことに心がけていますか? 

 不妊症の患者さんは、治療が長引くと、先の見えない不安を抱えてナイーブになっています。ちょっとした言動で動揺してしまったり、心にダメージを受けやすくなっているので、言葉には気を付けるようにしています。また、完全予約制にすることで、しっかりお話ができる時間を確保するよう努めています。
また、当クリニックでは、医師の診察の中では話しにくいことなども気軽に相談してもらえるよう、専門のスタッフが診察前後にお声がけするようこころがけています。


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―不妊患者さんは、どのような悩みを抱えられていますか?

 旦那さんが治療にあまり積極的ではないことで悩まれている患者さんは多いですね。保険適用でご夫婦揃っての通院が必要になりましたので、男性側にも治療方針について考えていただき、一緒に頑張りましょうとお話するようにしています。

当クリニックは月に1回、体外受精についての説明会も開催していますので、体外受精を考えられている患者さんは、ぜひご夫婦で参加してみてください。


県内で数少ない無痛分娩に対応・ヨガ教室も好評

―少子化と言われますが、分娩数は減っているのでしょうか?

 全体的には減っているようですが、当クリニックの場合は無痛分娩をしていることもあり、分娩数はあまり変わっていません。県内では無痛分娩ができる施設が限られているため、市外からもたくさんの患者さんにお越しいただいています。

4割の患者さんが東温市と松山市ですが、6割の患者さんは里帰りや遠方の患者さんです。5人に1人が無痛を希望されていますね。当クリニックは、妊婦さんにも、不妊の患者さんにも、「このクリニックにして良かった」と感じていただけるよう、女性の心と体をサポートできる多くの講座を開催しています。

 

早めに受診し、自分に合った医師を見つけることが大事

―患者様へのメッセージをお願いします。

 不妊で悩んでいる方、不安に思われている方は、早めに産婦人科を受診してください。そして、医師の説明をよく聞いて、自分に合う先生を見つけてほしいと思います。医療は信頼関係のうえに成り立っていますので、不信感をもちながら治療をすると、なかなかうまくいかないものです。信頼できるクリニックや医師の元で、安心して治療をされるとよいでしょう。