【大阪府】IVF大阪クリニック 看護師インタビュー vol.1

 

· 看護師インタビュー

 

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今回は不妊治療、体外受精を専門に行うIVF大阪クリニックで「不妊症看護認定看護師」として活躍されている小松原さんにお話を伺いました。

生殖医療領域に進んだきっかけ不妊症看護認定看護師の資格を取得した経緯から、不妊症看護認定看護師の役割などお話してくださいました。患者さんに向けてのあたたかいメッセージもいただきましたので、ぜひ最後までご覧ください。

 

人が好きだから選んだ生殖医療領域

-小松原さんが生殖医療領域を選んだ理由をお聞かせください。

 東北に住んでいた25年前、産婦人科のアルバイトで他施設へ2時間もかけて不妊治療に行く患者様と出会いました。その時にインターネットで体外受精は排卵誘発剤を沢山使用することや実施している施設が少ないことなどを知りました。この方が通っていた施設の医師が、「不妊治療の最先端であるIVF大阪クリニックで研修を受けた」とホームページに載っていました。その後、夫の仕事の関係で大阪に転居することになり、IVF大阪クリニックで不妊治療の専門的なことを学びたいと思いました。

 また、産婦人科領域は女性が大きなイベントを経験する場所で、妊娠までの楽しい ことや辛いこと、妊娠した喜び、残念ながら流産してしまった悲しみなどたくさんの喜怒哀楽がある場所だと思うんです。私は人が好きなので、患者様の喜怒哀楽に寄り添って支えることができることは大きな魅力だと思い、生殖医療に携わることに決めました。


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ー素敵な理由ですね。現在勤務されているIVF大阪クリニックの治療の特徴や方針も教えていただけますでしょう。

 

IVF大阪クリニックはIVFという体外受精の名前がついていますが、体外受精しかしていない訳ではなく、カップルの状況に合わせて一般不妊治療を重視します。例えば、子宮卵管造影検査で卵管が閉塞していたら、体外受精を勧めることが一般的です。

 しかし、当院では卵管鏡下卵管形成術:FTを日帰り手術で行い、卵管を健康な太さへ治療し、タイミング療法や人工授精法で妊娠を目指します。そこで妊娠に至らないかった場合には体外受精を推奨します。もちろん体外受精の技術も熟練した医師や胚培養士たちが自己研鑽を積んで高い妊娠率を保っていますので、安心して治療を受けて頂けると思います。

 また、当院には院長の福田愛作から取った『Aisaku ism』患者様を家族のように想いどうしたいかを一番に考えよう!という信念がスタッフ間に根づいています。患者さんの視点に立って柔軟に対応していますので、患者様の気持ちを優先にして治療を進めていただけると思います。

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―不妊症看護認定看護師さんの数はそれほど多くはないと思うのですが、なぜ取得されようと思ったのでしょうか。

 一般的な婦人科と、不妊症領域は全く違うんです。婦人科で長年勤務していた看護師だとしても不妊症領域は専門性が高いので難しく、初めは私も全くのど素人で分からないことだらけでした。でも、だからこそ沢山の知識や情報を学んで、患者様へ分かりやすく伝え、悩んでいる患者様の役に立ちたい!一緒に寄り添って考えたい!と思い、不妊症看護認定看護師の資格にチャレンジしました。

―生殖医療では辛い時期の患者さんのケアを行う場面も多いと思いますが、難しさを感じることはありますか?

 治療中の患者様は自分が願っている目標に向かって努力しているのに、なかなか辿り着くことができなければ、辛くて悲しい気持ちになるのも当然のことだと思います。その気持ちを看護師へ話していただければ、重い気持ちをちょっとだけ軽くするお手伝いができると思います。でも、その気持ちを心の奥にしまい込んでしまって、出さない方や出せない方がいます。そんな方へは色々な角度からアプローチするのですが、心の蓋を開けて頂くことをゆっくりと待ち、遠くから見守るしかない無力さを感じることもあります。


医学的な知識を元に患者サポートをするのが不妊症看護認定看護師の役割

―不妊症看護認定看護師の役割は、カウンセラーとの境界線が難しい気がするのですが、小松原さんはどうお考えですか?

 心理的なカウンセリングは、人の思いに対してのケアをするのだと思います。一方で、不妊症看護認定看護師は、思いを癒すだけではなく、医学的な知識を元に治療と絡めてアドバイスするようなイメージです。通院スケジュールや夫婦関係などを考慮し、どうしたら患者様の気持ちが少しでも楽になるかな?と考えながら、傾聴だけでなく通院調整や夫婦関係への介入を行います。

 当院には心理カウンセラーがいるので、時には心のメンテナンスのためにカウンセリングを受けてみませんか?と患者様へ促すこともします。また、カウンセリングでも軽快しない場合には、心療内科を勧めることもあります。心療内科はハードルが高いと考える方もいますが、妊娠した後のことを考えてもらい受診を勧めています。今心のメンテナンスをしておかないと、うまく赤ちゃんと向き合うことができないかもしれないので、妊娠・出産・子育ての準備としてとても重要なことです。

 

―看護師さんは患者さんにとても近い存在だと思うのですが、どのように接するよう心掛けているのでしょうか。

 クリニックでは患者様の人生のほんのわずかな時間を一緒に過ごすだけですが、その方の人生において大きな分かれ道になるかもしれない時間を共有させていただくことが嬉しくもあり、どのように関わるかによってその方の人生に良いことも悪いことも大きな影響を与える可能性があることを意識して面談させていただいています。

 私は患者様の友人として、母として患者様に寄り添い癒したいと思っています。そのため、時にはカルテに書かれている厳しい現状をお話しすることもあり、その選択肢は不妊治療だけでなく、それ以外の選択肢も提示することもあります。その方がその後の人生において孤独になり迷わないようにその後の選択肢について一緒に考えさせて頂けたら嬉しいです。是非、小松原へお声がけください。


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生殖補助医療が保険適用になって変わったこと

―生殖補助医療の保険適用によって、患者さんの層に変化はありましたか?

 保険適用になってより若い20歳代の方や妊活の予備知識が少ない方が多くなった印象があります。だからこそ、治療のプロセスを十分に説明し理解されてから治療を開始していただけるように、不妊治療に関する情報をしっかりと伝えることも大切ですね。不妊症看護では一緒に考え悩むプロセスを大切にしているので、認定看護師としてさまざまな選択肢をお伝えし、道標を示せるように心がけています。

―カウンセリングは保険適用ではなかったり、未だに生殖医療は制度の遅れがあるのかなという印象を受けますが、今後は制度も整っていくのでしょうか?

 カウンセリングは保険適用の料金設定が無いのですが、それは治療の基本費用の中に包括されているということなんです。つまり、生殖医療を受ける患者様へはカウンセリングは無料で受けられるように設定しなさいということなんです。当院では、看護師相談室があり不妊症看護認定看護師や生殖医療相談士が担当して、30分無料で実施しています。費用算定ができないことは賛否あると思いますが、患者様がこのようにいつでも相談する場所があるようになることは、患者様にとってはとても嬉しいとだと思います。

 生殖医療の制度は短期間に一気に出来がったので、まだまだ未成熟だと思います。でも、保険適用になったことは素晴らしいことなので、今後も少しずつ患者様視点で良い内容へ整うように協力してくことが大切だと思います。

私たち、不妊症看護認定看護師へ声をかけてみてください!

―最後に小松原さんから患者さんに向けてメッセージをお願いします。

 妊活中のみなさん! ご夫婦で向き合いながら、日々お食事や運動など生活習慣の見直し、仕事との両立など頑張っていると思います。努力されているのに思うような結果にならない時、ご夫婦での気持ちに温度差が生じた時など、ちょっぴりもやもやする時は無いですか?そんな時は不妊症看護認定看護師へお声がけください。

 また、この人にだったら話せると思える味方のような存在を是非見つけてください。心の蓋を開けて話してみると心が軽くなって、見える景色が変わるかもしれませんよ。不妊症看護認定看護師がいる病院なら、治療のプロセスを重要視して不妊治療を進めることができると思いますので、ぜひ頼ってくださいね。


―不妊症看護認定看護師さんがいる病院は患者さんにとって心強いですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。