【対談インタビュー】腹腔鏡手術と生殖医療 前半編

· 医師インタビュー
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神奈川県川崎市にある新百合ヶ丘総合病院。563床の病床数と40を超える診療科を持つこの病院では、不妊治療における高度生殖医療と内視鏡手術(腹腔鏡/子宮鏡/卵管鏡)の両方を行うことができる日本でも数少ない施設です。

リプロダクションセンター長/産婦人科部長であり、不妊治療の領域を担当されていらっしゃる田島博人先生(以下敬称略)と産婦人科医長で腹腔鏡手術をご担当されていらっしゃる浅井哲先生(以下敬称略)を迎え、お話を伺いましたので、本日はその前半編をお届けいたします。

 

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高度生殖医療にまつわる豊富な治療経験。中でも内視鏡手術は日本一の症例数を実現 

ー新百合ヶ丘総合病院は、不妊治療における不妊治療と内視鏡手術 (腹腔鏡/子宮鏡/卵管鏡)の両方に豊富な症例を有する日本でも数少ない施設だと伺いました。 

 

田島)はい、当院では不妊治療における高度生殖医療と、内視鏡手術(腹腔鏡/子宮鏡/卵管鏡)の双方に豊富な症例数を有しています。高度生殖医療は2018年時点で年間686件の採卵と400件の胚移植を実施しました。また、内視鏡手術については2020年時点で、年間約1,500件の腹腔鏡手術、約300件の子宮鏡手術を実施しています。公表されているデータを見る限り、この内視鏡手術の症例数は日本で最も多いと言えます。 

 

―本日は、高度生殖医療と内視鏡手術 (腹腔鏡/子宮鏡/卵管鏡)の両方についてお伺いできればと思います。まずは、少し基本的な質問になってしまうのですが、内視鏡とはどういう手術なのでしょうか。 

 

浅井)内視鏡の中でも最も症例数が多い腹腔鏡手術についてご説明しますね。腹腔鏡手術とは、患者さんの腹部の数か所を少しだけ切開し、内視鏡など一部の器具のみを挿入して、手術を行うことを指します。内視鏡による拡大視野により、丁寧で安全な手術が可能となります。侵襲性が低い(患者さんの傷が小さくて済む)ので、痛みも少なく、回復が早いのが特徴です。 

 

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―不妊治療を受けている患者さんの中で、どのような方が必要になるのでしょうか。

 

田島) 体外受精を行っている、もしくは検討されている方で、子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、卵巣嚢腫、子宮内膜症などに罹っている方は、その病状によって内視鏡手術の検討対象となります。婦人科系のトラブルは表立って話題になりにくいですが、実はこれらの疾患は、女性の3~4人に1人が罹患しているとも言われる疾患で、不妊の一因にもなります。

 

例えば子宮筋腫の場合、位置や大きさなどによっては受精卵の着床を妨げるようなことが見受けられます。子宮筋腫を内視鏡手術で切除し、着床しやすい状態に整えたうえで、体外受精を行うことで成功率を向上させることが可能になります。 

 

―そうなんですね。手術を終えてからすぐに、体外受精を始められるのでしょうか。 

 

田島)例えば子宮筋腫の手術の場合、自然妊娠を希望される方は、術後3~4か月は避妊が必要になります。一方で、体外受精を希望される方については内視鏡手術が卵巣に影響を及ぼすことはないため、その避妊期間を無駄にすることなく採卵して受精卵を凍結保存することが可能です。 

 

妊娠率は年齢が上昇するほど下がりますから、早期に最適な治療をすることが重要であると当院では考えています。その点、病院が高度生殖医療と内視鏡手術の両方に対応していると、適切なタイミングで迅速に対応できますから、患者さんにも喜んでいただけているようです。 

 

―婦人科疾患があるような方、また、不妊治療を経て妊娠した方は、妊娠中および出産時のリスクも高くなりやすいと聞いたことがあります。 

 

田島) はい、例えば先ほどの子宮筋腫の例ですと、妊娠しても胎児のスペースが狭くなったり筋腫自体が変性して子宮の収縮が起こったりと、早産のリスクが高まります。その点、当院では産科や小児科もありますから、起こりうる様々な状況に対し、情報共有をスムーズに行い、適切な治療を行うことができる点もまた、特徴かもしれません。 

 

ー婦人科疾患がある方には特に、新百合ヶ丘総合病院のような病院で不妊治療を受けるメリットが多くありそうですね。

前半編では、新百合ヶ丘総合病院の得意とされている腹腔鏡手術や生殖医療との関連をお伺いしました。次回の後半編では、そのような迅速で豊富な症例数を可能にする新百合ヶ丘総合病院の医療体制や治療方針についてお伺いしていきます。