【山形県】ゆめクリニック 生殖医療専門医インタビューvol.4

· 医師インタビュー

 

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東京から北におよそ300km、山形新幹線で約3時間の距離にある山形県。その南部、置賜地区は、新潟県、福島県、宮城県と接しており、豊かな自然と食で知られています。本日は置賜地区の米沢市にある不妊治療施設、ゆめクリニックの院長でいらっしゃる生殖医療専門医太田信彦先生にお話を伺いました。   

太田先生インタビューのStory

1. 目の前の患者さんと向き合い、堅実に課題を解決していく

2. 遠方の患者さんの通院の負担を少しでも軽減できるよう、近隣病院との連携を実施 

3. 日本中のどこでも同じ質の不妊治療を受けられるよう、最新の技術に常にアンテナを張っている 

 

目の前の患者さんと向き合い、堅実に課題を解決していく

―生殖医療を目指した背景を教えてください 

ちょうど山形大学に入学する頃に、東北大学で日本初の体外受精児が出生したことが話題になり、興味を持ちました。その後、東北大学にいらっしゃった星和彦先生 (スズキ記念病院名誉院長)や、山形大学で生殖医療のご研究をされていた齊藤英和先生 (梅が丘産婦人科ARTセンター長)から影響を受け、生殖医療を専門にしたいと考えました。  

 

―実際に生殖医療の道を進まれて、最初のイメージとは変わりましたか 

目の前にいらっしゃる患者さんに向き合い、目下の課題を一つずつ解決しながら進んできたような印象で、それほど最初のイメージとの差異を強く意識したことはないかもしれません。不妊治療はいつもうまくいくわけではないですから、より良い結果を得るには、といつも考えています。また、昔と変わらず、受精卵はいつ見ても美しいなと思いますし、常に新鮮な気持ちで取り組めているのかもしれないですね。     

仕事と不妊治療の両立にあたり患者さんの負担を少しでも軽減できるよう、近隣病院との連携を実施   

―先生のクリニックには、どのような患者さんが多く受診されますか 

弊院は、縦に長い山形県でも、南側の置賜地区 米沢市にあります。主には、近隣地区からの受診が多いですが、県境で面している福島県の北側や、山形県の北の方にある庄内地域から遠方より受診される方もいます。 

また、体外受精のために他の施設から転院してくる方もいらっしゃいますが、弊院では婦人科診察や人工授精も行っていますから、もっと早い時点から受診される方も多いですね。 

もちろん、お仕事をされながら治療されている方も多くいらっしゃいます。  

 

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―お仕事をされている方は、不妊治療と仕事の両立に苦しまれることも多いと聞きます。 

体外受精は通院回数が多くなりますから、仕事との両立が決して簡単ではないことはよく理解しています。そのため、弊院では、他施設との連携、およびオンライン診療を組み合わせた生殖補助医療を行っています。これは、患者さんが通いやすい地域のクリニックと協力をしながら、また、オンライン診療を活用しながら、弊院にわざわざ通院する回数を減らすためのものです。これにより通常の来院による診療とほぼ同等の質を担保した上で、通院に関する負担を軽減することが可能となります。 

特に仕事をされている方など、通院負荷が高いと感じている患者さんは必要に応じて上手に活用されていらっしゃいます。  

 

―具体的には、治療のどのタイミングにおいて、先述の遠隔医療の方法を活用することが可能になるのでしょうか 

患者さんひとりひとりによって違いますので、あくまで一例になりますが、採卵月に高刺激法を行っている方で、月経開始時から日が浅い場合などは導入が可能だと考えています。逆に、高刺激法でも採卵日が近づいているようなタイミングや、採卵のタイミングの予測難易度が上がるとされる低刺激法を行っているような方は、より慎重な判断が必要になりますから、適さないように考えています。   

―先生にとっては、通常来院の患者さんと、遠隔通院の患者さんを両方診ることでお仕事が忙しくなるのでしょうか 

もちろん、導線を増やすと複雑になりますし、確認事項も増えますから、弊院にとっての業務負荷は高くなります。それでも患者さんが治療を継続するために、必要なのであれば精一杯取り組ませていただいています。     

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日本のどこに住んでいる患者さんも、同じ質の不妊治療を受けられるように。最新の技術を提供できるよう、常にアンテナを張っている。

―先生が診療を行う上で心掛けていること、また、これから取り組みたいことを教えてください 

常に心掛けていることは、最先端の医療技術を提供できるようにしておくことです。山形県にいらっしゃる患者さんと、東京都にいらっしゃる患者さんで、治療の選択肢に差が出ないことが必要だと考えていますし、そのためにいつも新しい技術にアンテナを張っています。   

もちろん、そのような治療法の中には、まだ善し悪しが確立していないものもありますから、積極的に薦めることはしません。患者さんから要望があったときにできないからとお断りするのではなく、対応できる施設でありたい、と考えています。   

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―要望を出される患者さん自身も、不妊の原因をひとつずつ探っていきたい、という気持ちなのだと推察します。弊社にも、患者さんから、不妊治療に関する情報がインターネット上で溢れているが、なにが正しいのかわからない、という声が寄せられます。 

そうですね。患者さん自身が正しい知識を得るのは重要なことだと思います。私自身も、診療の際に、なるべく患者さんに対し、分かりやすい説明ができるよう心掛けています。また、弊院にはカウンセラーもいますので、心配事など気軽にご相談いただけるとよいですね。   

―本日はありがとうございました。患者さんにとって「正しく」「必要な」情報を届けられるように、cocoromiでもしっかりと情報提供をしていきたいと思います。 

<cocoromi編集部より取材を終えて> 

インタビューの際に質問をさせていただく中で、「そんなに大したことはしていないんです」と謙遜されることが多かった太田先生。ところが、更に話をお伺いすると、他のクリニックとの連携や最先端の治療導入に対する考え方など、ご自身のご負担を省みず、患者さんのことを最優先に考えていらっしゃる取り組みを多々お伺いすることができました。日々、目の前の患者さんと向き合い、堅実に課題を解決していくことを日常とされているのだと感じたインタビューでした。      

cocoromiは、不妊治療の記録、自分と似た人の治療データの閲覧、患者同士の情報交換ができるアプリです。患者さんが治療を理解して、主体的に取り組むことで後悔のない生き方へ繋がるよう今後もサポートしてまいります(cocoromiについてはこちら)。