【長野県】佐久平エンゼルクリニック 医師インタビュー vol.14

· 医師インタビュー
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総合病院の産婦人科から出発し、専門性を高めて未開の地でクリニックを開業 

―産婦人科を選ばれた理由と、生殖医療に進まれたきっかけは? 

 もともとは外科に興味をもっていたのですが、研修医時代にお世話になった産婦人科でさまざまなことを経験させていただくうちに、産科に惹かれるようになりました。

 最初に勤めたのは、総合病院の産婦人科でした。総合病院では、妊婦さんと不妊症の患者さんが同じフロアにいるため、どちらの患者さんも居心地の悪さを感じるということをよく聞きます。

 産婦人科医にとっても、産科の患者さんと不妊症の患者さんをどちらも同じ時間帯に診ることは、いろいろな面で難しさがありました。特に、産科では安全に産まれてくるのが当たり前でも、不妊の場合はうまくいかない方のほうが多く、医師として力不足を感じることもありました。

 その後、長野県に縁があり、3年ほど勤めた佐久市立国保浅間総合病院では体外受精も行っていましたが、より症例数の多い群馬県の高崎ARTクリニックで2年ほど勉強させていただいたあと、生殖医療の専門医を取得したという流れです。

 

―佐久にクリニックを開かれた理由は? 

 信州はプライベートクリニックが独自に県内の生殖医療を盛り上げてきたという歴史があります。完成し尽くされていたとしたら、新しいこともできかなったと思いますが、未開の地だったからこそ、この地域のためにできることがあると感じました。

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個々の患者さんの状況に合わせたオーダーメイドの治療を提供 

佐久平エンゼルクリニックの特徴について教えてください。 

 当クリニックは、「オーダーメイド」をキーワードにしています。標準治療という考え方がありますが、不妊の方は、なかなかひとつの型にはまらないことが多く、患者さんの年齢から社会的背景や夫婦関係、どういう妊活をしていきたいのかもすべて違います。そうした一人ひとりの患者さんに合わせた、あらゆる意味でのオーダーメイドを実践しているのが、当クリニックのいちばんの特徴です。

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 不妊治療の難しさは、結果がすべての方に保証されないということです。どうしてもうまくいかない方もいる中で、患者さんにとって最善の治療をご提供し、より多くの患者さんに幸せになっていただきたいと願っています。

 

保険適用後も、自分に合った治療を求める患者さんは自費診療を選択 

―保険適用前後で患者さんに変化はありましたか? 

 保険適用が始まって4月以降、一時的に患者さんが減った時期がありました。保険診療は、いわゆる標準治療がどこの施設でも受けられるというのが建て前ですので、地元のクリニックなどで治療を受けられる方が増えたのだと思います。

 ところが、夏ぐらいになると、ほかの場所で成果が出なかった患者さんが動きだしたためか、患者さんが右肩上がりで増えるようになりました。これまでに蓄積してきた技術の差があらわれた結果だと思います。自費診療を受けられる方はもちろんですが、保険診療を希望される患者さんも、遠方から来られる方が多くなりました。

 

―保険診療によって、後押しされている印象はありますか? 

 中には体外受精に不安があるという患者さんもいらっしゃいますので、そういった患者さんには、国から認められている治療ということで、保険診療を案内させていただくことがあります。

 ただ、当クリニックはオーダーメイドをうたっていますので、6~7割が自費診療になっています。年齢が高くて、他院でうまくいかずに転院されてきたような方が最初から自費診療を希望されることもありますし、若い方でも自分に合った治療をしてほしいという患者さんが多く、そういった方から選んでいただいているのだと思います。

 

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―治療において大切されていることはありますか? 

なるべく1回の採卵で多くの卵子を採り、1、2回の胚移植で妊娠につなげることを推奨しています。1日でも早く結果を出すことで、金銭的な負担を最小限に抑えることができますし、余力を残して1人目を出産することで、第2子、第3子を考える余裕も生まれます。

 そのような事を掲げるもうひとつの理由として、卵子の老化があります。一般的に、女性の年齢が35歳を過ぎると妊娠率が低下すると言われています。人生の早い段階で採卵した卵子を凍結方法しておくことで、老化の影響を受けることなく、将来の妊娠に備えることが可能になります。当クリニックでも、患者さんの家族計画に基づいて、必要と判断した場合に、卵子の凍結保存を実施しています。

 

先進的治療の積極的な導入により、患者さんのさまざまなニーズに対応 

―最先端の治療法を導入されていることも、先生のクリニックの特徴のひとつですね。 

 私自身が新しいもの好きということもあり、さまざまな先進的医療を積極的に導入してきました。最近話題になっているERA検査(胚移植の最適なタイミングを調べる子宮内膜着床能検査)も、4年ほど前に導入しています。着床前診断のPGT-Aも、県内では数少ない実施施設で、この4月に認定を取得したところです。

 

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 このほかには、再生医療の技術を取り入れた子宮内膜を厚くする治療(PFC-FD™療法)なども行っています。過去に行った流産手術や人工妊娠中絶手術などの影響で子宮内膜が損傷を受けた結果、子宮内膜が十分な厚さにならないことが原因で、受精卵が着床できなくなっている難治性不妊症の方を対象にご案内しています。

 これまで先進的な医療を求める方は、東京や大阪など遠方まで通われる患者さんも多かったのですが、当クリニックでこうした治療ができるようになったことで、県内の患者さんのニーズにお応えできるようになりました。

―最先端の治療法まで幅広く取り揃えているからこそ、個々の患者さんの状況に合わせたオーダーメイドの治療を実現できるのですね。一人でも多くの患者さんに幸せになってもらいたいという想いがとてもよく伝わりました。本日はありがとうございました。